EMERALD
読みたかったわけではない
席に戻り、世羅はレオナードに微笑む
「なら、遠慮なく。前、借りてもいいかな?」
「どうぞ」
涼しい図書館の中、本をめくる小さな音が響く
時折、外から聞こえる鳥の鳴き声
「こういう聞き方は、失礼なのかもしれないけれど・・・。外国の人が夏目漱石を読んで、面白い?」
気になってしまったので、ページをめくる手を止めて、聞いてみた
「夏目漱石って、新しい作家ではないでしょう?」