EMERALD


読みたかったわけではない

席に戻り、世羅はレオナードに微笑む


「なら、遠慮なく。前、借りてもいいかな?」

「どうぞ」


涼しい図書館の中、本をめくる小さな音が響く

時折、外から聞こえる鳥の鳴き声


「こういう聞き方は、失礼なのかもしれないけれど・・・。外国の人が夏目漱石を読んで、面白い?」


気になってしまったので、ページをめくる手を止めて、聞いてみた


「夏目漱石って、新しい作家ではないでしょう?」



< 146 / 627 >

この作品をシェア

pagetop