EMERALD


今逸らしたら、気持ちが揺らいで、告げた言葉を否定したくなってしまうから


「住む世界が違うのに、親しくなるのは無理だわ。手を伸ばしても無駄だと分かっているなら、私は手を伸ばさない」


自身に言い聞かせるように、世羅は力強く答えた


「だから、もう話しかけないで。貴方は王子だわ。私には、雲の上の人なの」


立ち上がって、世羅は鞄に手を伸ばす


「───ッ」


その手を、レオナードが掴んだ


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