EMERALD


優しい抱擁だというのに、その腕の力は強かった

一瞬、抗おうと思った

けれど、世羅にはできるはずもなかった


何度、触れることを願っても、叶わないと思っていたことが、今、叶っている


「あ・・・」


今まで我慢してきた涙が、溢れそうになった


《僕は・・・》

「殿下・・・?」


レオナードが口にしたのは、日本語ではなかった


《僕はなんて・・・、弱いんだろうッ》


< 477 / 627 >

この作品をシェア

pagetop