Morning moon
一度あたりをぐるりと見まわしてから、カバンを持っていない右手を胸にあて、深呼吸してから中に入って行った。


東棟の中は、空気が冷えていて、なんとなく薬品臭い感じがした。

夕方の講義は入っていないみたいで、ガランとした廊下を奏美の足音だけが響きわたっている。

見学と言っても、どこをどう見たらいいのかさっぱりわからない。

付属の高校で制服を着ているから、不審者に間違えられることはないだろうけど、なんとなく不安になってきた奏美は一度引き返すことにした。


その時、背後のドアが開き、誰かが出てきた。

「相葉さん?」

奏美が逢いたかった沙欄先輩だった。
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