Morning moon
「音成さん、頭をあげて下さい。正直、事情が飲み込めていません。
あなたが魔法使いで王子だということくらいしかね。

父親として、たった1回会っただけで、結婚を許すという気持ちにもなれない。
それはわかってもらいたい。

奏美は魔法使いかもしれないが、私にとっては大切な娘だ。
どこの誰と結婚するとしても、私は納得して嫁がせてやりたい。
しかし、君たちにも事情はあるようだね。お互いに少し時間が必要だろう。」

父親らしい譲歩だ。

「ありがとうございます。一度に理解して頂くには、複雑すぎる事情で申し訳ありません。

ただ僕は奏美さんを愛しています。これは生涯変わらぬ事。信じて頂きたいです。」

その日の話はそこで終わった。

先輩は魔法界へ戻った。

奏美も今日一日で十年分くらいの疲労を感じて、早くに身体を休めることにした。







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