ひと夏の経験
「はいはい、早く上がりなさい」
男の子のカバンを持ちながら言うお母さん。
ほんと誰なんだ。
「部屋は二階だからね」
とお母さんが言うと男の子は二階に上がって行った。
「あの子誰なの?」
「せっちゃんの息子」
「せっちゃん…?あっ!確かお母さんの友達の…。で、なんであの子がここにいるわけ?聞いてないよ」
「言ってないもん。せっちゃんが入院してるの。だからそれまで預かる事になった」
お茶を啜ると立ち上がって、
「そう言う事だから頼んだわよ」
とどこかに行ってしまった。