深海から見える灯【完全版】
上手く表現できないけど、その人は「青い」。
赤とか色んな照明が当たっても、あたしには「青」。


(この人・・・?)

と思った瞬間にはもう涙が出ていた。
何で泣いてるのかも自分でわからない。

ただ、感じたのはこの人が書く、ちょっとわかりずらい歌詞があたしには何が言いたいのかすごくよくわかる。



この人・・・、多分、あたしみたいな人だ。

自分がキライで汚くて許せない人。

でも、そのくせ人を求める勝手な人。


どうにかしてこの人に会えないかな?

あたしは毎日そんな事を考えていた。

常識で考えたら、あちらは人気絶頂なバンドマンで、あたしは一般人。


「会ってどうするの?」

会社でユッコちゃんは言った。

「聞きたいの。「あなたもそうなんでしょ?」ってただ聞きたいだけ」

普通、いい歳した適齢期の女がこんな寝ぼけた事を言っていたら大抵は呆れると思う。
でもユッコちゃんは「何か、あたしも会える気がする!!」と言った。

多分、あたしとユッコちゃんしか理解出来ないモノだと思う。


「とりあえず、あたし手紙書くよ」

あたしは手紙を何通も書いた。

「会えたらどうしよー」

ユッコちゃんも協力してくれた。



彼を見ていると、許せなかった自分。21歳の時、自分を最低だと思ったあの時の自分をもしかすると許せるかもしれない、そう思った。


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