ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「苺ちんっ、こっちにっ!」
「あっ、はいっ!」

あたしは自分の前に落ちてきたボールを、メグちゃんに向けて打った…

はずだった。

「えいっ!…えぇっ!?」

メグちゃんの居る左側とは、真逆の右側に、ボールは大きく弾んで、

ぼよんっ

体育館の壁に激突。

「ごめんなさいっ!!」

あたしは一度謝って、ボールを取りに走った。


本当に自分が嫌になる。

今みたいに全然違う所に飛んでいくのは、1セットの試合の中で何回もあった。

サーブは、入るか入らないかの問題の前に、ネットまで届かないし…。

あたしはこの身長、この運動神経だから、ブロックなんて以っての外。
全然居る意味なかったし…。

アタックなんて夢のまた夢…。

どうしてこんなんなんだろう。


あたしはボールを、審判の人に渡す。
だって、1セット目のゲームは終わってしまったから。

結果は12−25。
もちろん、あたし達の負け。

礼をして、一旦休憩に入る。

「本当にごめんなさいっ!」

あたしはみんなに、もう一度謝った。

「ドンマイっ!」
「気にすんなって!」
「面白かったから許す!」
「苺ちんは頑張ってたよぉ♪」

みんなが励ましてくれた。

嬉しいけど…
自分が情けない。

何だか目の奥が熱くなって、涙が浮かんできた。

やばい…泣いちゃダメ!
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