ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

あたしは西藤くんに、引っ張られるようにして、また歩き出す。

「津田の手、冷たい」
「あ、ごめんっ」

咄嗟に手を離そうとした…けど、西藤くんはぎゅっと、力を入れた。

「いいよ、このままで」
「うん…ありがとう」

あたしも西藤くんの手を、握り返す。

大きい男の人の手…。

この手をずっと、離したくないと思う。

ずっとずっと、側に居て欲しい。

だから、努力をしようと思った。

顔や身長とかは、生まれ持ったものだから、どうしようもない。
だけど、内面で挽回できるような人になりたい。

本当に“いい子”になって、
みんなから西藤くんの“彼女”として、認められたいな…。


帰り道の途中、手を繋いで話す、卒業生カップルを見た。

その姿と…自分達の姿を重ねる。

1年後…あたし達はどうしているだろう。

未来は分からない。

分からないけど…

ずっとずっと一緒に…

1年後も、手を繋いで歩きたい。

そんな未来を願って…信じて…

繋いだ手を強く、強く握りしめた。
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