ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
校庭にはまだ、ちらほら人が居た。
そんな人達を横目に、あたしと西藤くんは学校を後にした。
風が吹くと寒い…。
さっきまで…西藤くんに抱きしめられてた時は、あんなに暖かかったのに。
…そうだ、抱きしめられちゃったんだ。
思い出すと嬉しくて、恥ずかしくて、くすぐったいような気持ちになる。
鞄を左手に持って、右手を空けているのは、右に西藤くんが居るから。
手…つなぎたい。
だけど、西藤くんの左手はポケットに入れられてる。それが何だか悔しくて。
西藤くんは好きな時に、あたしを抱きしめることが出来るのに…
あたしは恥ずかしくて、手を繋ぐ事すら出来ないんだもん。
「…津田?」
「あっはいっ!」
「黙り込んで、何見てんの?」
西藤くんが、あまりに優しく笑うから…
きゅっ
あたしは立ち止まって、ポケットに入れられた、西藤くんの左手の裾を…掴んだ。
恥ずかしくって、顔が見れなくて俯く。
「津田…?」
西藤くんは驚いたような声で言った後、すぐにふっと笑った。
そして…
温かく、柔らかい感触に、あたしの手は包まれた。
はっと顔を上げると、やっぱり西藤くんは笑ってて。
「かわいいな」
「っ!?かっ、かわいくないよっ!」
あたしはまた俯く。