ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「え?」

言われたことが聞き取れなくて、聞き返す。

ううん、本当は聞こえたけど…頭が“何かの間違い”って、拒否した。

だけど…間違いじゃないことを、次の瞬間に知る。

「苺ちん、うざい」

「っ……」

胸がドクンッてして、言葉に詰まる。

「苺ちん、すぐ戻るって言ったじゃん?どこ行ってたの?」
「ごめんね…図書室」
「誰と一緒に居た?」
「え−…」

メグちゃんは振り返って、あたしの顔を睨みつけた。

「西藤くん…だよね?」

「……」

「メグ見ちゃったんだ。西藤くんと居るとこ」

「ごめん…」

謝ることしか、出来ない。

「彼氏が出来た途端“裕くん、裕くん”って、うざい」

「え…」

「苺ちん、メグの気持ち考えたことある?メグも西藤くん、好きだったんだよ?」

その言葉を聞いて、あたしの胸はぎゅうって、締め付けられた。

「苺ちんなんか大嫌い」

メグちゃんは、あたしに背を向ける。

「メグちゃんっ!」

「メグ、西藤くん奪うから」

追いかけようとしたのに…

足が動かなかった。
< 265 / 494 >

この作品をシェア

pagetop