ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


あたしは廊下を全力で走る。

今日はメグちゃんと、世界史のレポートやる予定だったのにっ!!

すぐ戻るからって、言ったのに!

裕くんに会ったことで、すっかり忘れてしまっていた。


おでこにキスされた感触が、まだ残ってて…。

走りながら、自分の頬に手を当てると、まだ温かい。

もうっ!裕くんのばかっ!

だけど、のぼせ上がってしまって、約束を忘れてたあたしが1番…

ばかっ!!


「メグちゃんっ!ごめんっ!」

勢いよく謝りながら教室のドアを開けると、教室に残っていた数人のクラスメイトが、こっちを見た。

「あはは…」と、とりあえず笑って、メグちゃんの方をみると…メグちゃんはこっちを見ずに、鞄に教科書を詰めていた。

「メグちゃんごめん。…帰るの?」

やっぱり怒ってるのだろうか。手を止めない。

「メグちゃん…?」

メグちゃんのこんな態度は、初めてで怖い。

ガタンッ

「苺ちん、ちょっと来て」

鞄を持って立ち上がったメグちゃんは、いつもと明らかに違う口調。

「え…うん」

何か威圧感があって、あたしはメグちゃんについて教室を出た。

誰も居ない、静かな廊下…。

教室から少し離れた所で、メグちゃんは足を止めた。

「…うざいよ」
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