ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「ごめんねっ…勝手に見るつもりなかったんだけど、風で机から落ちて…」
窓を見ると、風で薄いカーテンが、ゆらゆらと揺れている。
「いいよ、言わなきゃいけないと思ってたから」
言いながら、プリントをまた机に置いた。
言わなきゃいけないと思いながらも、言うのが怖くて…今まで“まだ必要ない”と、逃げていた。
「第一志望の大学って…」
微かに、苺の声が震えてる気がした。
「…藤堂先輩と同じ所…だよね?」
「…」
俺はただ、頷いた。
すると、苺は俯く。
どうするんだろうか…。
泣くんだろうか…
怒るんだろうか…
麗奈みたいに、“何で”って問い詰めるんだろうか…
一瞬の間に沢山予想したのに、全て外れた。
「そっかぁ!裕くん頭良いもんねっ♪」
「苺…?」
苺は笑顔で…。
「でもまさか、そんなに頭良いなんて思わなかったよっ!…なんて失礼?」
笑顔なのに、どうしてだろう。
…痛い。
「びっくりしたけど…応援するからっ!」
笑わないで…。
「あ、勉強の途中だったんだよね?邪魔してごめんねっ!」
苺は床に置いた鞄を持つ。