ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


時が止まったみたいに思えた。

裕くんが、

あたしを真っ直ぐ見つめるから−…。


目を逸らしたいのに、

逸らせない…。

まるで捕われたみたいに、

逃げられない…。


「あっ…あのっ…」

やっと声を絞り出したその時、

カチャ…

玄関のドアを開ける音が、聞こえた。

みんなが帰って来たんだ…。

裕くんはふいっと背を向けて、歩き出した。

「ありがとうっ」

あたしは慌てて、もう一度お礼を言った。
そのまま裕くんは、部屋を出て行く。

その後ろ姿を見ながらあたしは、ホッとしたような…
でも、少し残念なような…

不思議な気持ちになった。


「いっちご−♪ただいまっ♪」

元気良くドアを開けて入って来たのは、由紀ちゃん。

「お帰り、どうしたの?」

やけにご機嫌な由紀ちゃんに、笑顔で返す。

「今、王子こっち来てたみたいだけどさ…」

由紀ちゃんは何かを期待したように、声を潜めて言う。
メグちゃんも、由紀ちゃんにピッタリと寄り添った。
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