ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「あー、また考えたでしょ?」
「へっ?」
「苺の王子様のこと」
「なっ何で…!?」

赤くなっていた顔が、更に赤くなる。

「すぐ分かるよ。王子のこと考えてる時、女の顔になるから♪」

女の顔…。

「−…それってどんなのっ!?」

あたしは慌てて聞いたけど、由紀ちゃんは笑うばっかで、教えてくれない。

「あ…そういえば、今日は待たないの?」

由紀ちゃんは思い出したように、足を止めた。

2つの道が合わさるその場所は、あたしがいつも待っている場所…。

だけど今日は…

「うん、今日は一緒に行かないことにしたんだ」
「え?何で?」

由紀ちゃんは、不思議そうにあたしを見る。
確かに普通は、今日こそ一緒に登校するのだろう。

でもね…

「由紀ちゃんと一緒に、学校行きたかったから」

あたしは照れ笑いする。

「苺のバカッ…」
「え…」
「もうっ!かわいいじゃんっ!」
ギュッと由紀ちゃんに、抱きしめられた。

「やっぱ王子にあげたくない!」

あたしは笑う。

由紀ちゃんの言葉が嬉しくて…。
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