ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
翔くん達の後ろ姿を、ただ見つめていたら、こっちに向かって、誰かが走ってくるのが見えた。
制服は女子…
手には、黒い何かを抱えている。
「苺ちーんっ♪」
それがメグちゃんだと、分かったと同時くらいに、名前を呼ばれた。
「どうしたの?」
息を切らしたメグちゃんに聞く。
「苺ちんのボタン、貰うの忘れてたぁっ!」
「えっ!?」
ここにも、あたしのボタンを欲しがる人が居るなんて…。
「あーっ!2つもなくなってるぅ!」
「あ…うん」
あたしは苦笑する。
「最後の1個、貰うねぇ?」
頷くよりも早く、メグちゃんはポケットから、小さなハサミを取り出し、チョキンとボタンを取った。
「えへへ〜もーらいっ♪」
不思議な気持ちだけど、あたしのボタンを、喜んでくれる人が居るのって嬉しい。
「あ、結城くんのボタンは?」
「もうなかったぁ〜」
メグちゃんは、ちょっとがっかりした様子を見せたけど、すぐに満面の笑みを浮かべる。
「だから、代わりに貰って来ちゃったぁ〜♪」
そう言って、手に持っていた黒い物を広げた。