ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「えぇっ!?」
思わず声を上げる。
だって…広げられたのは、
制服の上着…。
メグちゃんは着ているし、どう見たって男物。
それにさっき…貰って来たって…。
と、いうことは…まさか、
「結城くんの…?」
「あったりまえー♪」
メグちゃんは、嬉しそうに上着を抱きしめる。
「くれたの…?」
「脱がしたぁ♪」
そ、そうだよね…。
まだ3月に入ったばかり。
自分から好んで、脱ぐ人なんていないよね。
さすがメグちゃん…。
「苺ちんはぁ?」
「えっ?」
「まだ西藤くんの所、行ってないのぉ?」
「…うん」
あたしは控えめに笑う。
するとメグちゃんは、あたしの後ろに回って、
「早く行かなきゃぁ!」
あたしの背中を押す。
「1秒でも長く一緒に居なきゃ、ダメだよぉ!」
「…」
1秒でも…長く…。
その言葉が、胸に響く。
そうだね…メグちゃん。
あれこれ理由を付けている場合じゃない。
背中を押されていたあたしだけど、自分で足を進める。
「うん…行ってくる!」
あたしはメグちゃんに、笑顔を向けた。
「行ってらっしゃぁい♪苺ちんも貰っておいでぇ♪」
上着を振って見せるメグちゃんに、苦笑する。
友達は最後まで、
あたしを支えてくれてるから−…。