ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「何で置いてくのっ?」

麗奈と呼ばれた人は、少し怒ったように言った。

「だって明人さんと一緒に居たから」

素っ気なく西藤くんが答える。

「だからって置いてけぼりにしなくてもいいじゃない!!お兄ちゃんが変な風に思ったらどうするの!」
「別に思わねーよ」
「もぅ、裕ちゃん!…あ」

自分の席の前で、ただ立ち尽くすあたしに、やっと麗奈と呼ばれた人は気付いた。

「津田さん?」
「はいっ…えっ?」

何で名前を…と、聞く前に答えは分かった。

「ちっちゃーい♪かわいいっ♪」
あ…。
そういう事か…小さいから先輩の目に止まったんだ。

「ど、どうも…」
「この前はごめんね?」
「いえ…」
「何?二人知り合い?」

西藤くんが聞く。

それは…あたしが聞きたい…。

「ちょっとね♪」

答えたのは、麗奈と呼ばれた人。

「西藤くんとあなたはどんな関係なんですかっ!?」

すっかり忘れてたけど、隣に居た由紀ちゃん…。
聞くに聞けなかったあたしの変わりに、聞いてくれた。
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