ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「はははっ、苺っ…マジ可愛いなっ!」
裕くんは綺麗な顔を、くしゃくしゃにして笑う。
その笑顔は昔と同じだ。
出会ったばかりの時も…
そうやって笑ってたよね。
「可愛くないっ!意地悪っ!」
あたしが反抗して言い返すと、裕くんは手をあたしの頭に乗せて、撫でる。
「ごめんって!」
「やだ!笑ってるもんっ!」
あたしの言葉通り、裕くんはまだ笑ってる。
でも…本当は嫌じゃない。
本当は、裕くんが笑ってくれるのが嬉しい…。
それは、あたしだけに向けられる笑顔…。
すごく大好きな顔…。
だから今、すごく幸せなはずなのに、
どうしてかな…。
笑顔を見たら、胸が苦しくなった。
「ごめんな」
裕くんはポンポンと、あたしの頭を軽く叩くように撫でる。
笑いは収まったみたいで、今度は優しく笑った。
「いじわる…」
あたしは小声を漏らした。
そんな笑顔を向けられたら、簡単に許しちゃうよ…。