ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

ゴンッ

「ひゃんっ!」

おでこの上辺りに、痛みが走った。

目を開けると、裕くんの顔はもう近くにはなく、いつもの高い位置から、あたしを見て笑っていた。

つまりは…

頭突きされたってこと。

「裕くん痛いっ!」

あたしはぶつけられた所を、手で押さえる。

「お仕置きって言ったじゃん?」
「こういうお仕置きはやだよぉ…」
「…へーえ?じゃあ、どんなのが良かったわけ?」
「え…?」

笑みをうっすら浮かべる裕くんの顔を見て、「しまった!」と、思うけど、もう既に時遅し。

カシャン…

裕くんはまた、フェンスに手をかけ、あたしを捕まえた。

「教えて。どんなの?」

また…真っすぐあたしを見つめる。

裕くんは確信犯だ。

見つめられたら、あたしが嘘つけないの知ってる…。

だけど…

キスが良かったなんて…

「死んでも言えないよっ!!」

あたしは俯いて、叫んでいた。

「…」

裕くんは何も言わず、フェンスにかけた手を静かに解いた。

…?

怒ってしまったかと、不安になって顔を上げる。

すると、裕くんは小刻みに震えながら、笑いを堪えていた。
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