ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「苺…?」

裕くんが名前を呼ぶ。

色々と言いたいことはある。
だけど、今はどれも言葉に出来そうにない。

そんな中で一言だけ言える。

それは、今まで何度か言った言葉。

ずっと待ってた…。

今日やっと、本当の意味で言える…。

あたしは笑う。


「おかえりっ…!」


小さな背をいっぱいに伸ばして、抱きついた。

幸せを抱きしめた-…。






窓際に置いた、イチゴの鉢は2つになった。

風でゆらゆらと、心地良さそうに揺れる…。


見落としてたんだ。

あたしのイチゴも咲いてたの。


小さくて、葉っぱの影に隠れてた。

まるで、あたしみたいに。


見つけて…花を咲かすから。

小さくても…白い花を咲かせるから。


それは合図。


赤く、甘酸っぱい季節はすぐそこ-…。




END
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