ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


ベリリリ…ペリッ…

静かな教室に、テープを剥がす音だけが響く。
あんなに賑やかだったのに、文化祭が終わると、いつもの静かな放課後の学校に戻っていた。


はじめは準備をした人みんなで片付けをしていたけれど、「片付けは休み明けのHRでしてもいい」という先生の言葉を聞き、1人…また1人と帰っていき、あたしは一人になってしまった。

じゃあ、なぜあたしは片付けをしているのかというと…答えは簡単。
由紀ちゃんがバスケ部の片付けを終えるのを、待っていたから。


元々簡単な展示だったから、一人でも片付けは順調に進む。
残るは、少し高い位置に貼っている物…。
つま先立ちで手を伸ばしてみるが、案の定張り付けられている位置まで手は届かない。

椅子…椅子…


周りを見渡すが、生徒の机と椅子は何も行われていない教室に片付けられているので、あるはずもない。

仕方なく隣の教室に行くと、キャスター付きの椅子が一つ。

危ないかな…でも、他にないし…気をつければ大丈夫だよね…。



教室に戻り、上履きを脱いでそっと椅子に乗る。
少しぐらついて「きゃ」と声を上げ
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