ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
☆裕也side☆


「裕ちゃん、ありがとー♪」

頭に小さなティアラをつけて、花束を両手に持った麗奈が言う。

「2年連続優勝だよー♪すごくない?」
「すげぇな。って、去年も出たのかよ?」
「うん♪でも今年の方が盛り上がったなぁ〜…だって裕ちゃんとだもんねっ♪」
「どういう意味?」
「お似合いだって事♪」

麗奈は笑いながら、花の匂いをかぐ。

「いっその事、ホントに付き合っちゃいましょうか♪」

「はいはい」

昔…麗奈の事が本当に好きだった頃なら、戸惑ったのかもしれない。
だけど、今は冗談と分かるから軽く返事をした。

「こらっ、先輩に向かってその口の聞き方は何?」
「そういえば今日、明人さんは?」

えらくご機嫌な麗奈を見ていると、なぜか意地悪したくなった。

「……来てないよ」

麗奈の声のトーンが、その一言だけ低くなる。

まずかったか?

少し慌てて声をかけようとした時、麗奈は駆け足で俺の前に出た。

「裕ちゃん、早く!せっかく優勝して何でも食べ放題なんだからっ!」
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