授 か り 人



「火栄はいいなぁ、ずっと雷志の肩に乗ってるんだもん」

 雷志の隣を歩く風稀がその肩に乗っている火栄をちらちらと見ている。

「じゃあオレも歩きますか? 歩幅が狭いのでチュラ川にたどり着くまでの時間がかなり長くなりますよ」
 それはちょっと嫌だ、と風稀は呟く。

 本日中にアロアという町にたどり着くのを目的に歩き続けていると、五歳くらいの子供が一人かけっこをしているのが見えた。

「こんなところに子供が一人?」

 先ほどの村から一時間半程歩いただろうか、チュラ川までの間に人が住むような町や村は無いと聞いていた。

 子供らしい高い声を出して走り去っていく。

 さらに五分ほど歩いていくと今度は子供が三人楽しそうにかけっこをしながら走っている姿を見つける。
 先ほどと同じように高い声を出して楽しそうにはしゃいでいる姿は微笑ましい。

「なんだかおかしいですね」

 火栄が疑問に思っていると四人、五人と子供はどんどん増えていった。

「確かにおかしいな。村は見当たらないし、見渡す限りの草原だ」

 遠くのほうにうっすらと見える何かはチュラ川だろうか。
 地図通りだとこの方角に橋が掛かっているはずなので不審に思いながらも歩を進めていく四人。
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