霊務2
【十年前の真実ー15】


「この会社を守る為です

私は雑用係として
三光の玄関である場所を
掃除しつつ、
入って来る者達を
見定めたいのです。

もう、
二度とあのような事が
起こらぬよう
入口で私は会社を守り
続けたい!

それが私の最後の
頼み事ですよ」






それがヨネさんの懸けた

全ての想いであった。






そこまでの熱き想い。


藤原に伝わらないハズも
なかった。






それが
どんなに重い言葉か、
即座に理解できていた。






しかし…






「米山さん…
今日はお引き取りを…」







そう言い藤原は
後ろの窓にクルッと向け
ヨネさんに背を向けた。







やはり
ダメであっただろう。






勝手に会社を飛び出し
勝手に採用してくれなど

あまりに
自分勝手過ぎたのかも
しれない。






ヨネさんは
ガックシして、

部屋から出ていこうとした。






そこへ
背を向けたままの藤原から
言葉が出た。






「米山さん……

本日の面接。合格です。

明日から
出社してください」





その言葉にヨネさんは
振り返った。






「藤原さん…」






その後、
何も言わずに
頭だけ下げると、

静かに
その部屋を出て行った…






こうしてヨネさんは
玄関受付にて
雑用係を任され、

以来10年間
ずっと守ってきたのだ。






いつも
会社を見上げては思う…






この会社は
命を掛けても
私がずっと守る…






誰もが
笑顔の絶えない
明るい会社に
していきたい…






願わくば…

二度と
あの様な惨劇が
ないよう…






それが……

私にできる…


三山に対する
最後のはなむけです…
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