俺様彼氏と空手彼女
バァンッッ!!
俺がきっぱり言い放った瞬間、璃依の従兄は両手で力任せに机を叩きつけた。
音に驚いた周りの客や従業員の視線が刺さる中、あいつはそんなことは気にせずテーブルの向かいから俺の胸ぐらに掴み掛かる。
「あいつはなぁっ、お前のせいで傷ついているんだ!」
「…っ」
「お前があいつを裏切るから!」
裏切ったわけじゃない。
ただ璃依を、守りたいだけ。
負けじと俺も璃依の従兄を睨み付けた。
「いいじゃないかよ。俺は璃依の居場所を守る。あんたは、璃依のそばにいてあいつを安心させてやればいい。」
「…そうしたかった。けど、俺じゃムリなんだ。あいつには、お前しかいないんだよ」
「…。」
「お前だって、本気なんだろ?だったら…」
「あの、お客さま。他のお客さまのご迷惑になりますので…。」
困った顔の、店長らしき男によって遮られ、俺たちは初めて周りの客に好奇の目を向けられていることに気付いた。