1/5の罪と傷、6%の生きる糧
不幸中の幸いはいつでもある。

私にとって、

最大の悲しみと同時に

最大の喜びだったのは、

聡に「中絶」がどういう事か

をちゃんと見せてあげられた事で、

そう思う私は

相当頭がいかれてると思う。


もう妊娠中期にさしかかっていた

私の二度目の中絶は、

かなりの時間を要した。

点滴を打ちながら最後の最後まで、

「お願いだから、産ませてください。」

と、ぼろぼろ泣きながら

最後の最後まで頼み続けた。

私だって、馬鹿ではないのだから、

それが無理なのは百も承知で、

結局のところ私が病院にいるんだから、

私の意志でここまで来ているのに、

そうやって言い続ける事で、

今後他の誰との間に子供が出来ても

中絶という選択肢を

私にも聡にも

もう二度と与えないように、

その事をお互いのカラダに刻み込む為

わざと、聡を苦しめた。








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