鏡の彼
第六話 決意
 コンクールまであと二週間と迫り、どのクラスも遅くまで練習を続けていた。時には、先生方と話し合い授業の時間を練習に割くクラスまである。

 当然、私達のクラスを焦りを感じられずにはいられない。

 強豪である三年と音楽部の生徒が多く集中する二年三組。三年はこれが最後だという事もあり、気合が入っている。高校時代の思い出を一つでも多く残す為でもあった。

 対して、二年三組は音楽部の副部長が在籍している。副部長の勧誘があってか、このクラスでは音楽部の生徒が半分を占めていた。

 私の学校では音楽室が二つある。その中で、新しい音楽室を「新音楽室」「第一音楽室」と言われ、古い音楽室は「旧音楽室」や「第二音楽室」と呼ばれていた。

 前に秋本くんにピアノを聞かせたり、私が練習に使っているのは勿論「旧音楽室」だ。
 新校舎にある「新音楽室」は音楽部のテリトリーでもあり、夏の大会に向けての練習も行われていた。

 上学年のやる気とは裏腹にサボり組がいるクラスでは対応に追われている。特に多いのが一年なのだが、一部の真面目な生徒達はそんな人達を一斉に無視しようとしていた。
 もし、私のクラスが未だに同じ状況であったなら……。
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