キスより甘く囁いて
「あ、もう4時じゃん」
沈黙を破り、雅が時計を気にしながら言った。
「え、何かあんの」
「うん、友達来る。凛、ごめんだけど帰って」
「はいはい」
俺はコップに残っていたコーヒーを飲み干すと、ソファから立ち上がった。
玄関までわざわざ見送りに来た雅に「じゃあな」と言うと、マンションの廊下に出た。
近すぎる距離。
俺の部屋と雅の部屋とは、徒歩5秒ってところだ。
雅に彼氏が出来たら、からかいに行ってやろうか、なんて考えた。