with you
「されないと思うよ。私はマイペースでいいかなって思っているし」


「絶対もったいないって。私が咲ならもっと遊びまくるけどな」


 そんな彼女の言葉に困ったような相槌を打つことにした。


「電車が来た。またね」


 彼女はそういうと電話を切る。


 私も電話が切れたのを確認し、携帯を鞄の中に入れた。


 彼氏、か。


 恋人にあこがれる気持ちがないわけじゃない。


 でも、今まで誰かを好きになったことも、人から告白されたこともなかった


 今電話をしてきた美由紀のように、彼氏がいた友達はいたけど、私にとってそれはあまりに現実味のない話だったのだ。

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