乾柴烈火 Volatile affections

Drug file No.1

土曜日の深夜2時。

お店が終わると、私は彩と一緒に

そのまま蘭桂坊に繰り出す。

それが私の習慣になっていた。

船から上陸して一番良かった事を

挙げろと言われれば、それは

蘭桂坊でのクラブ遊びを覚えた事だ。

私たちの夜は、

数あるお店の中でも誰でも入りやすい、

インソミニアへ行く事から始まる。

声をかけてきた香港人にお酒を奢らせ

たばこを吸っていると、

さっきまでお店にいたお客さん達に

声をかけられた。

「あれー、志保ちゃんと彩ちゃんじゃないの?楽しんでる?」

「先ほどはありがとうございました。楽しんでいますよ。」

「何?連れがいるの?」

「ああ、いませんよ。さっきお酒は奢って貰いましたけど。」

と言ってカウンターに置いていた

コロナを手に持ったら

そのままコロナを奪われて

その中に白い錠剤を入れられた。

そして再び私に手渡す。

こんな事をされたら激怒するのが普通


だけど既にお店で散々飲んでいる私にとって

もうそんな事はどうでもいい。

「これ、何ですか?」

「男性用のバイアグラだよ。」

「これを飲めって事ですか?」

「そう。」

「ちょっと待ってくださいよ。あなたたち、一流商社マンでしょ?こんな事しちゃって、いいんですか?」

「俺らが一流商社マンだからこそ信じて飲んでよ。」

私は、さっきお酒を買ってくれた香港人と

片言英語で戯れている彩を捕まえて

『今日は何があっても責任もって私を連れて帰ってね。』

と囁き、

コロナを掲げて一気飲みした。

笑顔でごちそう様と言った後、

即効で彩を連れて

インソミニアを後にした。


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