殺し屋
「聞いたって、答えないことぐらい分かってるさ」
 笑い混じりの声。
「そうそう、それと……、」
「ん?」
 早く帰ろうと言った割には、雑談が目立つ。
「人を殺しても、何も思うなよ」
 どうせまた下らない無いようだろうという思惑を裏切るような内容だった。
「はあ……?」
「そういう人を殺す復讐鬼に限って、『自分は今まで何をしていたんだ?』という自己嫌悪に陥り、自暴自棄になりかねない」
「悪いが、人を殺してどうこう思うほど、俺は良い人間じゃない」
「ははっ、そうか。だけど、人は人だろう? そういう感情を完全に消すことは出来ない、だろう?」
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