殺し屋
 暫く歩いてからの事だった。音がする。規則的な、音が。通信機の音だ。
 俺はポケットから小型の通信機を取り出し耳に当てた。
「どうだ、始末は済んだか?」
 低く、穏やかな声。少なくとも、人を殺した後に聞くような声では無かった。
「何度もいうが、お前から連絡するのは止めてくれ。今が緊急事態だったらどうする」
「いいだろ、別に。そん時は応答しなければ良いだけだ」
「耳障りなんだよ」
 俺は舌打ちをしながら呟いた。
「まあ、その様子じゃあ、既に依頼は終わったようだな。クライアントも大喜びだろう」
 クライアント……依頼主の事だ。
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