non title

社長は何もかもを見通している。
いつだって、何だって、言われた通りに動けば事が悪く動くことなんてなかった。
だから私も社長を信じているし、ユウ君だって、彼女に絶大なる信頼を寄せていた。

「でも、もし情報が漏れたりなんてすれば…」
「全部ユウに任せたわ」
「任せるって…まだ彼二十歳ですよ?」
「大丈夫よ。きっとうまく行くわ」

この時ばかりは、少しだけ怒りが込み上げてきた。
いくらなんでも無責任過ぎる。
そんな私の感情を読み取ってか、社長は私に「まぁ、そんなに考えなくても」と落ち着いたトーンで言う。

「今はね、売れてる芸能人でも、何年も付き合ってる彼女がいます、いずれ結婚したい、と言えば好感度が上がる時代よ?それにユウはアイドルとは違う」

私は何も言えない。
社長の言っていることは、確かに私も感じたことがある。

< 21 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop