海の少女と空の少年
*Opening
とうの昔に日が沈み、辺りは夜の闇に包まれていた。

いつもなら、この時間のこの町は、風の音しか聞こえないくらい静まり返っている。

しかし今日は違った。


「くそっ!アイツ何処に行ったんだ!?」

「何があっても逃がすなよ!
町の隅々まで探して捕まえるんだ!!」

数人の怒鳴り声が響く。
町の住人達が皆重苦しい顔つきで走り回っていた。
町には、怒声と幾つもの足音が轟いていた。



―――彼は、町の外れでその騒ぎを聞いていた。

(声が大分近い…)

彼は暗闇の中、目を凝らして町の方を見やった。

町人の姿はまだ見えないが、このままだといずれ見つかるだろう。



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