オレの相棒。
----カン
打者が打ったボールは悠弥の手前にフライとなって上がった。
それを落下地点に入って、なんとか捕球する悠弥。
六回を終え、0対0。
お互いヒットは出るものの、あと一歩が出ず得点に繋がらない。
相手はレフト方向への打球が多くなった。
…わざと、怪我をしている悠弥の方に狙って打ってる。フライだったり、ゴロだったり、…器用に。
「おい、大丈夫かよ…」
ベンチに帰り、椅子に座って肩で息をする悠弥にこっそり話しかけた。
悠弥が怪我してるのを知ってるのは、オレと大和と西条、そして監督だけだ。
「ん…ま、器用に打ってくる相手チームのおかげで楽じゃないね…はは。」
それでも笑う悠弥からオレは目をそらした。
「でも、楽しいよ。いつもは見えない東の背中、見えるから。後ろから見る東のピッチング綺麗だし」
「…そか」
顔を隠すために、わざと帽子を深めに被った。