君色の夢に恋をした。
……私ね、わからなかったんだ。
こんなにシンプルに言葉を発してる人、見るのはじめてだったから。
この時の私は、逃げることしかできなかったの。
今逃げなきゃ、私の全てが崩れる気がして。
「…もう、あっち行ってよ。」
嫌になってしまうくらい、情けない声だった。
すがるような声に、自分自身嫌気が差す。
けれども、そうでもして遠くに行ってもらわなきゃ、私が私でなくなってしまう気がした。
「…わかった。ごめんな。」
そこら辺は、さすがの翔でも何かを感じたらしい。
申し訳なさそうな笑顔を見せながら、私に背を向けて。
後ろを向いたまま私に手を振り、そのまま歩き出して見せる。
―…だけども、ピタッ、と。
2、3歩進んだところで、その足は停止した。