上司に恋しちゃいました
*   *   *



ただ好きなだけなのに……


そんなことを言ったって誰も同意はしてくれないだろう。


鬼の王子を本気で好きになってしまったのは、いつからだろうか。


キスをされた日?


初めて身体を重ねたあの雨の夜?


それとも……


最低な男だと思うのに、嫌いになれない。


むしろどんどん好きになっていく。


冷徹な仕事人間だと思っていたのに、本当は周りをよく見ていて、細かな気配りをしている。


叱る人間がいないから、あえて自分が嫌われ役を買って出た。


あたしを叱っていたのも、もっと周りと仲良くやってもらいたかった為だった。

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