上司に恋しちゃいました
「おい、聞いてるのか?」


数日前の、あのキスのことを思い出していた私は、慌てて顔を背けた。


「あっハイ、すみません」

しっかりしてくれよ、鬼の王子はため息と共に自分のデスクに戻っていった。


戻る途中に、新人の女の子に捕まって、仕事の質問を受けているようだった。


決して優しいわけではない。口調は厳しいし、威圧的だ。


けれど論理的で簡潔に話す鬼の王子は、確かに仕事ができるので、新人の女の子は、尊敬と明らかな好意の目で、質問に答える王子を見つめていた。


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