上司に恋しちゃいました

「あの、もし、これから特に何も予定がないようだったら、その……」


「今どこ?」


「え!? えと、代官山です」


「今から合流してもいい?」


「も、もちろんです! 迷惑じゃなければ!」


鬼の王子は、迷惑なはずないだろ、と笑いながらすぐに行くから待っててと言って電話を切った。


通話ボタンを押した時よりドキドキしていた。胸に手を当てなくても、ドクッドクッと心臓の音が聞こえるほど。


鬼の王子が来る!


飛びはねたいほど嬉しい気持ちを押し殺して、携帯電話を両手で握った。

< 231 / 341 >

この作品をシェア

pagetop