上司に恋しちゃいました
携帯の画面に表示された鬼の王子の電話番号を見つめて立ち止まる。


もう日は暮れていた。


こんな時間に会いたいなんて言ったら迷惑かな。家やホテルじゃなくて外で会いたいって言われたら面倒臭いよね。


でも……。


心の中での心配事とは裏腹に、あたしの親指は通話ボタンを押していた。胸がドキドキする。


「もしもし」


鬼の王子の声が耳元に響くと、身体が熱くなった。

「あの、今、何してました?」


「ん~、家にいたよ」
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