上司に恋しちゃいました
横顔の、伸びた首筋が好き。ハンドルをさばく筋張った長い指が好き。


左手の薬指に指輪がはめられていないことに気付いて、なんだか嬉しくなった。やっぱり今日、鬼の王子に会えて良かった。


水族館に着くと、鬼の王子はあたしの手を握って歩き出した。


夜の水族館は初めて。


光る水槽と優雅に泳ぐ魚たち。穏やかに時が流れていって、とてもロマンチック。


しん、と静まり返った夜の海の中を散歩しているようだ。


「やっぱりこっちにする」


鬼の王子は握った手を離すと、あたしの腰に手を回した。


あまりの近さにドキドキする。鬼の王子はあたしの頭に口づけするように鼻を寄せて、満足そうに微笑んだ。


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