上司に恋しちゃいました
「おい、仕事中だぞ」


低い声がして横を見ると、壁にもたれかかって両手を組んで睨んでいる鬼の王子の姿があった。


「課長!」


浅田君の顔色が変わる。パッとあたしから身体を離すと、鬼の王子に一礼して、バツが悪そうに去っていってしまった。


廊下にはあたしと鬼の王子が残されて、とてつもなく気まずい雰囲気。


ど、どうしよう。怒ってる……。


鬼の王子は黙ってあたしの手を取ると、会議室に入っていった。


カチャリと音がして鍵が閉まる。


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