上司に恋しちゃいました
「最近仕事も頑張ってるし、辞めるのが勿体ないくらいだな」


笑って放たれた言葉に、あたしはドキリとした。


さっきまでとは違う心臓の動きが耳奥に感じる。あたしはなるべく冗談っぽく言おうとして口元が引きつった。


「辞めないっていうのはどうですか?」


口に出した途端に後悔した。心の底から。


タイムマシーンがあったら一秒前のあたしの口を塞いでしまいたい。


それほど鬼の王子の顔が分かりやすいくらい曇った。


ポーカーフェイスの、あの鬼の王子が。


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