上司に恋しちゃいました
「珍しいわね、あんたから電話してくるなんて」


「うん。ちょっと言いたいことがあって」


「何よ」


あたしはケータイを強く握りしめて、大きく深呼吸をした。


「結婚……しようと思って」


数秒間の沈黙。


その間にあたしの胸はうるさい程悲鳴を上げていた。


反対されたらどうしよう。


それが怖くて、ずっと連絡できずにいた。


あたしは今でも両親の前に出ると、途端に物が言えなくなって、自分の気持ちを押し殺してしまうのだ。


そんなあたしの心配とは裏腹に、返ってきた言葉は意外なほど淡泊なものだった。

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