上司に恋しちゃいました

「お母さん、ありがとう」


「は? 何が?」


「ううん、何でもない」


わけわかんない子ね、とお母さんは笑った。


あたしのやりたいこと……あったじゃない。


あたしは妙に高揚する胸を抑えることができなかった。


あたしの中で何かが変わっていく気がする。


どんどん、見えなかったものが見えてくる。


やりたいことが増えていく。


こんな気持ち、初めてだった。


ベランダを覗くと、鬼の王子が夜空を見ながら煙草の煙を吐いていた。


白い煙が空に上がっていく。
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