上司に恋しちゃいました
「でも急よね~、今日退職だなんて。

普通一ヶ月前には皆に知らせるんじゃなくて?」


「部長より上の方々にはお知らせしていました」


「どうして私達には知らせてくれなかったの?」


「それは……結婚する相手が課長だからです。
社内恋愛なので、もしお知らせしたら皆さんに気を使っていただいたり、ご迷惑になるといけないと思ったので」


次から次へと飛んでくる質問に辟易(へきえき)していた時だった。


「それよりも、どうして深川さんだけが鬼の王子が独身だって知っていたの?」


この質問に、あたしは動揺して目を一瞬泳がせてしまった。


それを敏感に察した相原さんは、口元を綻ばせて、鋭い眼光を向けた。


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