上司に恋しちゃいました
「もしかして、知らないで付き合ってたの?」


相原さんの言葉に、女の子達は身を乗り出した。


突然鋭くなった顔を見て、分かってしまった。


皆、鬼の王子が好きだったんだ。


だから荒探しをして、何でもいいから非難したいんだ。


不倫なんて、絶好のネタだもんね。


「ねえどうなの、深川さん。独身だって知ってから付き合ったの? それとも……」


あたしは大きく深呼吸をして、意を決して口を開いた。


「……独身だってことは、付き合った後に知りました」

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