上司に恋しちゃいました
 大きなステンドグラスから外の光が全面に当たり、祭壇に飾られた十字架に光が降り注いだ。


十字架に当たった光は、大きな影となって鬼の王子とあたしの足元に伸びてくる。


リングピローに乗せられたふたつの指輪が差し出された。


鬼の王子がリングピローに手を伸ばし、小さい方の指輪を手に取った。


その指輪をあたしの左手にゆっくりとはめる。


下りてくる指輪の感触が、胸にぐっと迫る。


薬指の根元にぴったりとはまった指輪は、まるで鬼の王子が『こいつは俺のものだ』と主張しているかのようだった。


そして、あたしもリングピローに乗った大きな指輪に手を伸ばした。


十字架がまるで目を持ち、あたし達を見つめているようで手が震えた。


この指輪は、鬼の王子が出会った当初から身に着けていたものではない。


宝飾店で一緒に選んだものだ。


 お揃いの指輪。


何も恐れることはない。


何に咎められることもない。


それなのに指輪に触れることをためらうように、指先の震えが止まらない
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