上司に恋しちゃいました
「そうだ! 中古で安く手に入れたウェディングドレスをアレンジして売り出すっていうのはどうかな。

 一生に一回しか着られないっていう文化がおかしいんだよ。

安価で売り出して、どんな体型になってもそれをカバーするようなデザインを生み出したら、もっと手軽で手が届きやすい服になるかもしれない。

 あたし裁縫は昔から得意だったし、一から作るわけじゃないから、それならあたしにもできそう」


「う~ん、でも結婚式はお金がかかるからなぁ。そう何度もできないだろ」


「参列者を呼ばないで、ふたりだけで結婚式を挙げるなら、時間もコストも抑えら
れる。

式を挙げる必要もないかもしれない。写真だけでもいい。

あたしが作りたいのは、二度目、三度目のウェディングドレスなの!」


「十年に一回とか節目ある年に、初心を思い出して、誓いの言葉を述べるのもいい
かもな」


「そう! 素敵だよね。一年に一回でもいい。
家族写真を撮る時にウェディングドレスを着られたら、そのためにダイエットを頑張るかもしれないし」


あたしはどんどんアイディアが浮かんできて、高揚する気持ちを抑えられなかった。
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